CONTAX RTSをフィルム機のメインに、FUJIFILM X-T4をデジタル機のメインにしています。
どちらもメインとしては申し分なく、とても使い勝手の良いカメラですが、
デジタルで撮ろうという日に「んーフィルムも撮りたいかも?」という場合、
撮るかどうかも分からないCONTAX RTSをカバンに入れて歩き回ることになります。
重いのもそうですが、RTSは祖父のカメラだったので流石に気を使います。
自分で買ったカメラでも気を使うのは変わりないですが…
ということで、小さくて使いやすいカメラはないかなーと色々見て、
KODAK Retina IIa (Type 016) に辿り着きました。
Retina IIaの修理(メンテナンス)
Retina IIaは、フリマサイトで7500円で売られていたものを買いました。
チェックしてみると、レンズのチリに気付きましたが、カビはなさそうです。
巻き上げ・シャッターレバーが若干硬い感じと、ヘリコイドが硬い感じがありましたが、
音を聞く限りでは、シャッターもキチンと切れている感じでした。
ファインダーも曇った感じはほとんどなかったので「このまま使おうかな」とも思ったのですが、
不調に気付かないまま使い続けて壊すのは絶対に嫌だったので、メンテナンスに出すことにしました。
調べてみると、KODAK Retinaは『普通のカメラ』だから機械式カメラを修理してくれる業者なら大体対応してくれるらしい。
「選択肢がたくさんあるなら…」と、いくつかの業者に連絡して、
納期が短く「Retinaといえば」みたいな評判を目にしたフクシマフォトサービスさんに依頼しました。
HP等は見つからず連絡先もJ-カメラの修理ガイドに買いてあるだけですが、電話したらとても丁寧に対応していただけました。
約1ヶ月ほど経って、
- ファインダー
分解修理 フォーカス合致調整 - ヘリコイド
分解清掃 グリスアップ フィーリング調整 - シャッター
スローガバナー分解清掃 シャッター調整 - レンズ
クリーニング
コーティング劣化のため完全に除去できなかったが、綺麗なレンズがあれば交換調整
との作業内容連絡がありカメラが返ってきました。
もちろん、カメラを送った段階で作業内容と工賃の連絡はいただきました。
正面から見た感じは、言われていたほどレンズが曇っているようには見えません。
レンズを開き、強い光を当ててよく見てやっと「ちょっと曇ってるかな」というくらい。
後玉がうっすら曇っている感じです(画像ではほとんどわかりませんね)。
コーティングの劣化らしいので、スカッと綺麗なレンズというのはそもそもこの年代のレンズには難しいのかも?と(勝手に)思うことで諦めがつきます。
シャッターを巻き上げやヘリコイドが硬い感じは、調整していただくことで改善しました。
そもそも状態のいいカメラではあったと思いますが…
Retina IIaを選んだ理由
今回、カメラを選ぼうとしたときに重要視したポイントは、
- 小さいこと
- 修理が出来ること(機械式)
- ピントが目測式ではない
の3つでした。
他にも35mmくらいの焦点距離だといいなー、とか色々ありましたけど、
フォールディングカメラを選択肢に入れた時点で、50mmでもいいかと割り切ってしまいました。
Zeissが好きなのでCONTESSA 35を買うかギリギリまで悩んでいましたが、
シャッターチャージが別だと煩わしくなるだろうな
縦に開くタイプのフォールディングカメラだとピントリングに手を伸ばすのが大変かな
と思ってしまったので、選択肢から外しました。
他にもPaX 35なども考えましたが、レンズ分で結局大きくなってしまうかな、と外しました。
KODAK Retinaにしようと決めてからも、色々バージョンがあり悩みました。
その中でもIIa (Type 016)を選んだのは、
- 距離計がある
- 巻き上げとシャッターチャージが一緒
- 巻き上げがレバー式で上部にある
の3つが大きな理由でした。
露出計が欲しい場合には、Retina IIIが選択肢になりますが、露出計を使わないとしても故障した時にモヤモヤするだろうな、と思ってやめました。
露出計がなくレンズ(前玉)交換式のRetina IIcもありますが、f2.8と一段下がるので選択肢から外しました。
明るさが重要であればIICという選択肢もありましたが、ブライトフレーム式になったことで大きくなってしまったので、なるべく小さい方小さい方と選んでいきました。
交換レンズに35 mmと80 mmがあるというのは、とても魅力的だったんですが、
距離計が連動しなくなってしまうので、見送りました。
あとは、レンズ交換があるということは、その分、レンズ代がかかりますからね。
KODAK Retina IIaには、
Schneider-Kreuznach Xenon 50mm f2とRodenstock Heligon 50mm f2とがあります。
正直、作例を見ても違いが良くわからなかったので、聞き覚えのあるSchneider-Kreuznachのレンズを選びました。
Retina IIaを使ってみて
レンズの曇りを確認したかったので、まずは試し撮りということで、
KODAK ULTRAMAX 400の24枚撮りを詰めてみました。
今回、現像とスキャンは奈良写真現像屋ヤフー店に依頼しました。
対応も迅速でとてもオススメです!
ピント合わせ
もうすでに撮り終わったKodak ULTRAMAX 400にレンズを向けて、iPhoneでファインダーを撮って見ました。
画像の状態は、二重像が合っていない状態なので、ピントは合っていません。
最短距離は大体90 cmくらいなので、画像のようにそれよりも近い状態だとどうしてもピントは合いません。
IIaでは窓が小さくて分かりにくいかな、と思っていましたが、思った以上にハッキリ見えたのでしっかりピント合わせが出来そうです。
カラーチャートを撮影
「レンズの曇り具合や発色の違いが分かるかな」と思い『さぁ、写真をはじめよう 写真の教科書 (著: 大和田 良 他)』に付属するカラーチャートを撮影してみました。
画像で見ると、レンズの曇りはよく分かります。大体同じくらいの画像サイズになるように調整はしてみたもののやはりデジタルのすっきり感と比べると分が悪いような気もします。
手近なものを撮影して見た
良く言えば、古いカメラの写り方でエモい。
悪く言えば、ただレンズが曇っているだけという感じ。
朝の日が割と強い中撮りましたが、変な光線が入っている様子もなし。
割とパタパタと動き回っている鳥もきちんと捉えることができています。
1/500でもしっかり止まるもんですね。
お茶にフォーカスしたつもりでしたが、若干中央からはずれていますね。
視差の補正がないみたいなので、フレーミングにコツがいりそうですね。
お茶の写真を見る限りでは、光の具合では曇りも気にならずに撮れそうです。
KODAK Retina IIaを使ってみて(まとめ)
「とにかく小さい135フィルムカメラが欲しい」という人は
Rollei 35だとか、コニカC35をお勧めします。
特に、コニカC35は小さいながらブライトフレーム入りのレンジファインダー機なので、
とってもお勧めです。38 mmという焦点距離も個人的にはツボです。
予算に余裕がある人は、Leica IIIfなどバルナックライカを買ってしまう方が、表現の幅が広がるかもしれません。
KODAK Retina IIa (Type 016)は小さいカメラが好きで、
- KODAKが好き
- フォールディングカメラ好き
- シャッターチャージが面倒
- レンズシャッターがいい
- 距離計は欲しい
- 露出計は要らない
上のようなこだわりがある人には、とってもお勧めできます。
1951年から1954年に製造され約70年経過したとは思えないほど、現代でも通用するカメラです。
ブライトフレーム式ではない分、フレーミングにコツがいりそうですが、
巻き上げも一回でしっかり巻き上がっていましたし、シャッターチャージを別でする必要がない分、とても軽快に撮ることができます。
持ち運びがしやすくて使いやすい優秀なカメラという印象です。
あとは、レンズがスカッと通ればなー、という感じではありますが、
まぁそのあたりは70年も前のカメラなので仕方ないでしょう。