今年も夏がやってきた
夏になるとどうしても「ああ、赤外線写真が撮りたい。カラースワップしたい」という発作が起きてしまいます。
特に昨年XF 16-55mm F2.8という非常に便利で使いやすい標準ズームレンズを買ってしまったもので「φ77のフィルター買って赤外線写真撮ったら最高かも」という気の迷いまで生じてしまいました。
というわけで、77mm径のIRフィルターのレビューをしていきます。
「赤外線写真って何?」という方も前回の赤外線写真のエントリーを読んでみてください。
注意喚起
赤外線写真というと良からぬことを考える人がいます。
あえて「赤外線写真はどのよう使うと悪用か」とはここでは書きません。
カメラは使い方によって、マナー違反となったり、誰かを傷付ける道具になってしまいます。
そして赤外線写真も例外ではありません。
赤外線写真を撮りたいと思う人は人一倍マナーに留意して撮影することを心がけてください。
結果から書くと「安物買いの銭失い」をしてしまった
77mm径のIRフィルターというのは高い。
いや、実際にはそこまで高いわけでもないが「撮れるかどうか」というところで考えるとそれなりに痛い値段します。
そんな中で2000円台しかも調整可能な赤外線フィルターなるものをAamazonで発見してしまったので即購入。
この買い物は、赤外線フィルターを買ったのではなくて赤い可変式のNDフィルターを買ったと思えば悪くない決断だったと思います。
作例紹介
ボディはX-T4でレンズはXF16-55mm F2.8です。
フィルターは先述の調整可能を歌った赤外線フィルターです。
前回の赤外線写真ののエントリーで使用したZOMEI IR720 52mmと比較するため、
Touit planar 1.8/32の画角に合わせて32mm(換算48mm)程度に合わせて撮影しました。
また、経験上絞りすぎるとシャッタースピードが長くなり景色が流れてしまうので、XF16-55に合わせてF2.8で撮影しました。調整可能IRフィルターについてもIR 720nm程度になるように調整しています。
また、カラースワップすることが今回の目的なので、赤外線写真を撮ってカラースワップした後の写真のみを掲載しています。
作例1 カラー写真
条件としては理想的な無風・順光・晴天といった感じです。
作例1 調整可能IRフィルター
カラースワップした状態で、空は赤く植物は緑ががって写っています。
次に載せるのが本来のカラースワップに近い状態の赤外線写真になりますが、この写真は赤外線フィルターで撮影した像とは遠いものになっています。
個人的には、空が赤く植物は緑色のこの写真も悪くはないと思いますが。
作例1 ZOMEi IR720nm
光を浴びている植物は白から暖色に写って、空は暗く青みを帯びているのがわかります。
特に花の部分は綺麗に白く抜けていますね。
赤外線写真はモノクロで見ると植物の部分は白く映るのですが、これを「ウッド効果」と呼ぶそうです。確か、ウッドさんが最初に発表したから、とかいう由来だったような気がします。
作例1 比較
並べるまでもなく、調整可能IRフィルターは赤外線写真とは異なる写真であることがわかります。
作例2 カラー写真
こちらも限りなく順光・無風・晴天のタイミングを狙いました。
作例2 調整可能IRフィルター
ある意味で「これはこれでいい」と思わせるような写真です。雲は綺麗に白く、緑の部分は鮮やかに写っており、それでいて空は赤いという。
カラースワップはかなり編集を加えているので、写真とは異なるアートのように感じますが、それをうまく体現しているように感じます。しかし、ここに赤外線写真らしさはありません。
作例2 ZOMEi IR720nm
赤外線写真をカラースワップするとやはり植物は赤みを帯びて写り、空は暗く写ります。
作例1もそうでしたが、赤外線写真では暗く写ってしまいます。もう少しSSを長くして光を受けるようにしようと思います。
作例2 比較
こちらも並べるまでもないですが、ZOMEi 720nmで撮ったものと調整可能IRフィルターではカラースワップした見た目が全く違います。
モノクロで確認しても、植物は白く写りません。
疑問:カラー写真ってカラースワップしたらどうなるの?
作例とは異なりますが、そういえばカラー写真をカラースワップしたことがなかったなと思い、カラースワップしてみることにしました。
赤外線写真のカラースワップというのは、簡単に説明すると
植物を基準にホワイトバランスを調整して、赤と青を下げて、赤の中の青と青の中の赤を引き上げる作業のことです。
その後、明度や彩度、コントラストなどを調整して仕上げていきます。
作例1のカラースワップ
空は赤く写り、植物はところどころ暖色になっているという具合です。
植物はぼんやりと写っているものが多いですが、花の色は毒々しくなっていますね。
作例1の比較
赤の中の青、青の中の赤を引き上げていますので、空は赤くなっています。
緑の部分はなんだか植物によって異なりますね。どうしてでしょう?
花についても赤みを帯びた花は寒色になっています。
調整可能IRフィルターと比較してもあまり差がありません。
強いて言うならば、調整可能IRフィルターの方が植物の色が濃い緑色になっているという感じでしょうか。
作例2のカラースワップ
これもやはり空は赤く写り、植物は緑色に写ります。
作例2の比較
作例1と同じ結果ですね。空は赤く、植物は毒々しい色になります。
彩度・明度に差があるものの、他にはほとんど差はありません。
やはり、調整可能IRフィルターとは名ばかりの赤いNDフィルターということになりそうです。
それに、カラー写真をカラースワップして得られる像ならそこまで必要性もありませんね。
まとめ:安いものには理由がある
今回、2000円台の調整可能な赤外線フィルターのレビューをしてみました。
77mm径のIRフィルターは、口径が大きい分52mmのZOMEiのフィルターよりも高かったので、安い値段を見て飛びついてしまいました。
しかし、やはり安いものには理由がありますね。今回の調節可能IRフィルターは赤い調節可能NDフィルターとしての利用価値しかなさそうです。
というか、そのように無理やり使う以外に道はありません。
安いものには、ご注意を。
今回の写真のまとめ