ケロまさるの写真ノート

写真とカメラのブログです。色々な写真を掲載します!

フィルムを安くデータ化したい

CONTAX RTSで撮ったフィルムをDPE店で現像、スキャンデータをCDに焼いてもらったのです(こちらの記事)が、データは160万画素とiPhone8で見ても若干粒子感があるというか、ノイズが載っている感じがあったので、自分でデータ化しても「そこまで変わらないのでは?」と試してみました。本当はKODAKのSCANZAが欲しかったんですが、日本だと高い…

 

 

準備したもの

光源

フィルムは現像してもらったあと、ネガかポジフィルムとして渡されるわけですが、光を浴びせないと得られた像は確認できません。
よく映画やドラマで照明にフィルムを透かしているシーンを見たことがありませんか?
もちろん、フィルムカメラを使ったことがあればとても身近だとは思います。
最初は、フィルムの現像だけを考えて「ドットのない」トーレス台を探しました。
絵などで使用するトーレス台を探すとすぐにヒットするのですが、ドットがあるものないものと色々あり、どうしようかな、と考えているうちにこちらの記事を見つけました。

www.sinkohsha.co.jpフィルムを確認するような光源が入ったボードは、どうやらライトボックスと呼ばれるらしく、演出性は100、色温度は5000 kと相場が決まっているようです。
トレース台には、色温度を変更できる仕様のものが少なく値段が高かったですし、フィルム用のライトボックスもそこそこの値段でした。
(調べ方が悪かったという可能性もありますが…)
最近、定常光のライトを導入したいと考えていたので「いっそビデオライトを買ってしまおう」ということで、NeewerのLEDビデオライト(Aamazonのリンクです)を購入しました。
VILTROXのビデオライトを買おうと思っていたんですが、バッテリーが付いてこなかったので、値段的に安いNeewer T120に決めました。

 

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Neewer T120

色温度は、3200 - 5600kの間で調整できるように見えますが、実際は多分2色です。

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色温度と光の強さがコントロールできる。
光の強さは無段階でコントロールできているように感じるが、色温度は多分2段階。


また、トレース台の時は「ドットなし」にこだわってはいたんですが、しっかりドットが見えるビデオライトを選んでしまいました。

フィルムの撮影準備

光源は用意できたので、今度はフィルムを撮影するための準備です。

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準備したのは、iPhoneを置く箱、ビデオライトを支える枠、
ビデオライト、「ドット」を消すための板、フィルムを押さえるスライド、フィルム

箱は、iPhoneのカメラがちょうど覗くように穴を真ん中と端に開けて、微調整できるようにしました。高さはちょうどピントが来る最短距離になるように箱を切るのがポイントです。
まぁ、最短である必要はないんですけど、その距離が最も大きく写るので…

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箱を裏から見るとこんな感じ

次に、フィルムの調整です。フィルムはポンと置くと反ってしまったり、何よりちょうどいいところに置くガイドがあると便利なので、フィルムを押さえるスライドを作りました。
厚紙と100均で買ってきた硬質フィルムをいい感じに切って…これはまぁ、あってもなくてもいいかな?という感じがしますが、あると便利です。
次に、絶対必要なのが、ビデオカメラのドットを隠す工夫です。光をうまい具合に拡散させれば、ドットは目立たなくなるので、最初はトレーシングペーパーを使ったのですが、紙の繊維?みたいなものが写り込んでしまっていたので、これも100均で買ってきたPP板を使いました。乳白色で光沢のもの(厚さ1mm)を二枚重ねにするとちょうどいい具合でした。2mmのものが売っていればそれでいいと思いますが、たまたま売っていない店舗だったので…

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光を拡散させないと、ビデオライトの「ドット」が写り込んでしまう(左)。
拡散させれば「ドット」は写らない(右)。

 

ここまで準備できれば、あとは撮ってネガポジ反転するだけです。

フィルムの撮影

ビデオライトの光を拡散させて「ドット」を消し、フィルムを載せて上から撮るだけといえば、それで終わりですが…

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準備したものを全て重ねるとこんな感じ。上から覗くと、フィルムが見えます。

この箱の上にiPhoneを載せて、フィルムの写真を撮るだけ。準備は結構時間がかかりますが、原理はとても簡単です。ネガフィルムなので色温度に拘る必要はあまりないのですが、一応、5000 kで。

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フィルムにピントを合わせて写真を撮るだけ。
ISO感度や色温度を調整できるので、ProCamを使用しています。ピントも確認しやすいです。

あとは、撮影したフィルムを編集ソフトでネガポジ反転して、画像データにするだけです。

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iPhoneで撮影したネガフィルムはこんな見た目。
これを編集ソフトでネガポジ反転します。

iPhoneで撮影してから「箱取っ払ってデジカメで撮って見たらいいんじゃ?」と思い、撮影して見ました。

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X-T4, Touit 32mm f1.8にて撮影。
マクロレンズを買ったらこっちでデジタイズするだろうな。

富士フィルムXマウントは導入したばかりで、標準レンズしかないので、ピントが合う距離が遠すぎてあまり大きくは写せませんでした。どうせ中望遠は買うつもりなので、等倍マクロを導入したいなというところですね。

撮影したフィルムをネガポジ反転する

フィルムのネガポジ反転には、RawTherapeeを使いました。

rawtherapee.com

もちろん、Lightroomを使ったりすると楽なんでしょうが、とにかく安く編集したかったのと、もともと使っている編集ソフトなのでRawTherapeeを使っています。
操作自体は簡単で、フィルムのオレンジ色の部分を選択してホワイトバランスを調整、白にします。白くなったらあとは色反転をしてネガポジ反転です。
と、まぁ作業自体は簡単なのですが、まだ未熟で完璧には補正することができません。

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オレンジ色でホワイトバランスを補正して色を反転すると左から右になります。
ここから露出などを補正して狙った像にしていきます。

RawTherapeeで開いたときに白っぽい像になってしまうというか、サムネイルで見たときと明度が異なるような気もしますが、何か設定が違うのでしょうか。
あと、当たり前ですがjpeg画像ではうまく編集できませんでした。

結論:上手くデータ化できたのか?

結論から先に言えば、たとえ160万画素だったとしてもDPE店でデータ化してもらう方が綺麗に見えます。もし自分で現像をと考えているのであれば、デジタイザーを使うか、フィルムスキャナを使うのが一番いいでしょう。まぁ、分かってはいましたけど…

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左が55stationでデータ化してもらった写真、右がiPhoneで撮影して現像した写真

自分で補正した方は薄暗いというかちょっと白けた色味になっていますね。ただ、好きな色温度に編集できる点はいいと思います。あとは、長い目で見ればランニングコストがちょっとだけ安くなります。
とは言え、自分はフィルムの消費がびっくりするほど遅い(月1本以下)のでそこまでランニングコストは考えなくていいかも?
iPhoneで撮影後、編集して切り出した画像を見ると、画素数的には139万画素と「確認だけなら悪くはないのかな?」という印象です。
一番大変なのは、ホコリなどのゴミを上手く飛ばさなきゃいけないので、ちょっとだけ気を使いますね。気を使っても入ってしまっていますが…
そもそもは「iPhoneで確認できるくらいにデジタル化したい」というのが目的だったので今回の方法でも悪くないとは思います。

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左が55stationでデータ化してもらった写真、右がX-T4で撮影して現像した写真

X-T4で撮影して切り出した画像は、175万画素だったので、画素数だけで見ればDPE店でお願いした画像よりも大きいですが、いかんせん自分の編集技術が未熟なので暗い写真に仕上がってしまいます。個人的には青の色味は好きなのですが、明度が悪すぎますね。
ただ、標準レンズでも画素数は稼げることがわかったので、撮影時の露出や色温度に気をつけて白っぽくなってしまう問題を解決できれば、カメラで撮ってというのも悪くないのかな?という印象です。若干ピントも外れているような気がしますし。
デジタイズを突き詰めていくなら、マクロレンズを買ってフィルムを撮影するとDPE店でのデータ化を超えられるように感じますね。
もちろん、編集技術の向上が最重要課題ですが…

まとめ:フィルムのデータ化をどうするか

今回、色々試行錯誤してみて、iPhoneで撮影しても写真を確認できる程度にはなるな、ということは分かりました。
フォトコンに応募する場合は、
確認した画像を元に現像する写真を選ぶなり、プロラボでスキャンしてもらうのがいいかな?
と考えています。
そもそもフィルムに写真が記録されているので、データ化はあくまでも確認のためと割り切っているので、今回の出来はまずまずという感じです。
あとは、スキャナがあればL判で印刷してスキャンする方法でもいいような気がしますね。

iPhoneで撮ったRAWのデータ現像、ネガポジ反転に関しても、特にこだわりがなければ、KODAKのMobile Film Scannerで撮れば満足のいく写真になるような気もします。
安ければKODAKのフィルムスキャナーを買うんですが、どうしても輸入品は高いです。物によっては定価の倍くらいします。まぁ、Kenkoとかのでもいいんですが、どうせなら欲しいものを買いたくて…
B&Hでの個人輸入も考えましたが、同じ値段出すならブツ撮りにも使えるビデオライトを買おうかな、と考え今回の方法に落ち着きました。
今後、フィルムで撮った写真は、作品として綺麗に見てもらいたいもの以外は、iPhoneや一眼でデータ化したものを掲載する予定です。